読み手を惹きつける「ハプニング」「目的の不在」「リターンを考えない労力」――ネット編集者・ライターが選んだ #推し記事2025
2025年12月9日、ネット記事に精通した編集者・ライターが集まって、1年を振り返りながら名作ネットコンテンツを語る「推し記事」トークイベントが、代々木のLIVE STUDIO LODGEで開催されました。これまで7年にわたり開催してきたトークイベント。コロナ禍を経て、5年ぶりのリアル開催となった当日の様子をレポートします。
主催:有限会社ノオト
目次
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左から、かまどさん、ひらりささん、杉本吏さん、司会の黒木貴啓さん
<登壇者のプロフィール>
杉本 吏(すぎもと・つかさ)さん
「ITmedia」や「ねとらぼ」の中の人として、いくつかの媒体の編集長を担当。「QuizKnock」のコンテンツ制作にも携わる。個人の日記サイトを読むことが一番の趣味で、名も知らない家族の日記を20年間読み続けている。ひらりささん
平成元年、東京生まれ。都内会社員として働く傍ら、平成生まれのオタク女子ユニット「劇団雌猫」として活動を開始、『浪費図鑑』(小学館)でデビュー。女オタク文化からフェミニズムまで、実体験に基づく文章を発信する。2025年、エッセイ集『まだまだ大人になれません』(大和書房)を刊行。かまどさん
バーグハンバーグバーグ所属。「オモコロブロス」編集長を務めるほか、WEBライターとして主に「オモコロ」のPR記事執筆を担当している。著書に『本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む』(大和書房)など。司会:黒木貴啓(くろき・たかひろ)さん
主夫/ライター/編集者。元ねとらぼ編集部、元ノオト社員。OMOTE PRESSの屋号で、古今東西の仮面文化から現代の面を見つめるリトルプレス『面とペルソナ20’s』『スタジオジブリの仮面と覆面』など発行中。
我々は本当に文章を読めているのか?
黒木:このイベントでは、2025年の良かった記事を登壇者が1人3本ずつ振り返っていきます。さっそくですが、今年の推し記事をご紹介していきましょう。まずは、杉本さんからお願いします。

杉本:1本目は詩人で作家でもある向坂くじらさんのエッセイ「塩こうじの食品表示」(だいわlog)です。言葉のプロである向坂さんが塩こうじの食品表示に書かれた「開封後要冷蔵」を読み間違えることから始まる話ですね。「読めているって何だろう」と考えさせられました。
かまど:記事が公開された時、僕もリアルタイムで読みました。ちょうど『本が読めない33歳が国語の教科書を読む』(かまど、みくのしん著/大和書房)を執筆している最中で、「言葉のプロが“読めない”方が、面白そうじゃん!」って悔しかったですね。この記事内では「読む」を実況中継していくんですけど、何が起こったのかを観察できるのがすばらしい。ゲーム実況みたいに思考を追っていくと、みくのしんも認識がダイナミックに動く瞬間があるんですよ。
杉本:みくのしんさんのメロス記事って、本を読めないみくのしんさんを、読者が高みの見物するじゃないですか。けど、彼のあまりにもプリミティブな読書体験に、「我々は、これまで本当に文章を読めていたのか?」という現実と直面する。この記事は、「むしろ文章を苦手だと感じている人にしか読めないものがあるのでは」と感じさせられた1本でした。
ひらりさ:向坂さんは『ことぱの観察』(NHK出版)という本を出されていますよね。文章を読める人だからこそ深掘りして思考する印象があって、着眼点が面白いです。

ひらりさ:私の1本目は、私野台詞(わたしのせりふ)さんが書いた「【検証】お父さん監修で作った乙女ゲームは傑作になるのか?」(オモコロ)です。
オモコロってファンの熱量が高いじゃないですか。私の場合なんですけど、これまで集積された関係性や前提情報を知らないと、オモコロの記事についていけないんじゃないかって、読む前からハードルの高さを感じることがあるんですよね。ただ、私野台詞さんは昔からいるライターさんじゃない点で「オモコロ新規」として入りやすく、面白かったです。
何より、乙女ゲームって、親に知られると恥ずかしいコンテンツのひとつじゃないですか。この記事は、そういう先入観を崩してくれた。それに、リンク先を選んで読む「いにしえのノベルゲーム調」なのもいい。手作り感があるのに、わざとらしさがなくて、必然性と爽やかさで満ちていました。
かまど:私野台詞さんの素直な感性がにじみでた記事でしたね。
杉本:100パーセント良い意味で、「愛情を受けて育てられてきたことが全力で伝わってくるコンテンツ」という印象も受けます。
ひらりさ:わかります。読んでいくとお父さんにも好感を抱きます。「あれ、今ゲームのお父さんルートに入ったのかな?」と思っちゃうくらい。好きだからこそ労力をかけた印象が残るリッチコンテンツでした。
杉本:リターンを考えずに労力をかける尊さは、過去の推し記事から通底していますね。

かまど:僕の1本目は「小説『影の雨』、プロンプト全文公開」(雑誌『広告』CASE#01)です。九段理江さんは芥川賞を受賞した『東京都同情塔』(新潮社)が「小説の5%をAIに書かせた」と話題になりましたけど、この作品では逆に小説の95%を九段先生がAIに書かせるんですよ。
正直、出来上がった小説はかなり失敗しています。でもプロンプトを通して、先生の創作論とか、編集のクリエイティブさが見えてくる。「生身の作家って、こういうことを考えているんだ」という驚きがあって、企画がとてもよかったですね。
杉本:印象的なのが、AIに対して「私(九段さん)に質問しないでください」というやりとりです。庵野秀明監督や宮崎駿監督の密着ドキュメンタリーにも通じるヒリヒリ感がありました。小説よりもプロンプトの方が本編のような読みごたえでしたよね。
ひらりさ:見せる前提で作ったプロンプトだと思うんですけど、そのパフォーマンスが良かったです。
かまど:これが面白いのって、きっと今だけですよ。今はAIに人間が勝てるけど、1年後には無理かもしれない。そういう一瞬のきらめきがありました。
好きになると、こんな世界が待っている
黒木:では、2周目に入っていきましょう。杉本さんの2本目は、藤原仁さんの「実際のところ『指示厨』に従えばゲームってクリアできるんですか!?」(オモコロ)ですね。これは、確かにものすごく話題になったので印象に残っています。

杉本:そうなんです。ただ、この記事は一見すると面白そうな雰囲気をしていますけど、やっていることは看守と囚人の心理実験に通じるような恐ろしさがあるんですよね。
指示される側のオケモトさんが1プレイごとにコメント欄を確認する様子は主体性のはく奪だし、逆に指示厨が生き生きする姿はマインドコントロールの果てそのもの。人って、与えられた役割ひとつでマインドが変容してしまうのが、よくわかります。
與座ひかるさんの「斜にかまえる、かまえないを1分ごとに切り替えるとどうなるか」(デイリーポータルZ)の記事に近いものを感じました。
かまど:主語の大きさを変えて見えてくるものを言語化すると、こんな勝ち筋があるんですね。
杉本:成功するかどうかわからない実験的な企画って胆力が必要なんですけど、それに勝利しています。
ひらりさ:オモコロの芸が詰まった記事ですね。この記事をきっかけに指示厨が減ったのか、気になります。現実では大勢いるから。

黒木:続いて、ひらりささんの2本目は……出ました、ソーセージ姉さん!
ひらりさ:はい、ソーセージ姉さんがnoteで発信した「ドイツの肉屋で1年間働いてみた」です。実は自分が推し記事を選ぶとき、最初に思いついたのはnoteばかりだったんです。今年一番読んでたのがnoteだったんですね。そこからひとつだけ残すとしたら、この記事でした。
この記事はすごく長いけど、全部読めちゃう。これだけの文量なら、仕事以外のドラマーーベタなところで言うと恋愛エピソードのようなーー話も入ってくるのかなって思うじゃないですか。でも2万字以上あるのに、本当にずっとソーセージを作っているんですよ! でもそれが面白い。ソーセージって、私たちにとって身近な食材じゃないですか。ある意味、「身近すぎて気にかけない食材」でもある。それを好きになるとこんな世界が待っているんだ!という驚きがありました。
この記事をきっかけに、日本の出版社から書籍化の話がいくつもあったようなのですが、当時は全部お断りしたそうです。これがまた潔くていいんですよね。今って、発信したことで発見されて、次につながることを「成長」として期待している面があるじゃないですか。発信するだけで充足しているのが美しい。
杉本:書き手にとっては、書籍化よりもはるかに優先度とか緊急度が高い「目の前のこと」があったんでしょうね。毎日ソーセージを作るのが忙しいから。
かまど:体格差があるからこその葛藤とか、重量感のあるシーンも出てくるんですよ。でも膨大な情報が流れ込んでくるから、読み手が抱えなくて済む。文体とリズムから、ドタバタな日常が伝わってきます。
ひらりさ:最近は、得意なことで生きていくことを良しとする風潮がありますけど、この方は向いていないことをやっているんですよ。そこも面白い。こうして年末に読み返すと、「私ははたしてこの1年を彼女と同じ密度で過ごしたのか」と背筋が伸びますね。

かまど:僕の2本目は「50音ずつ一番面白い言葉を決める」(あごわーるど)。書いたのは、げを/顎集会です。この記事、というかこのサイトはオモコロ杯に応募していただいたものなんですけど、僕がゾッコンでほれ込みました。
面白いと思った言葉を並べる作品を挙げると、たとえば『悪魔の辞典』(岩波書店)があります。が、成功している例ってあまりない。面白く書こうとすると、そういう語り口や言葉ばかりを選ぶから、胸やけするというか、面白さが単調になってしまうんです。けど、このサイトは文字だけで人を楽しませようとする手数がすごい量で、まさに技のデパートでした。
杉本:仲間内でやっているんですよね。サイト内に書いてあった情報からすると、今は20歳くらいの方。サイトの紹介文に『2000年代初頭ごろの「テキストサイト」文化に強い憧れがあり(リアルタイム世代ではないのですが……)』って書かれていて、高校の情報の授業で習ったHTMLを使っているみたいなんですよ。
かまど:往年のベテランライターのテキストサイトみたいな仕上がりですよね。「年配の方が送ってきたんだろう」とオモコロ杯の審査員でも話題になりましたが、実年齢を知ってびっくりしました。内輪のノリは感じられますけど、オモコロとかインターネットが楽しいものだと信じて、一歩踏み出そうとしている感じがすごく好きです。
書き手の文体は個性だし、香るものは香る
黒木:では3本目です。杉本さんは毎回、はてな匿名ダイアリーから1本選んでいますが、今年はいかがでしたか?

杉本:毎年インターネットでしか読めない記事を選出したいので。今年は「杏の枝を打った話」(はてな匿名ダイアリー)を選びました。
今年は、増田(はてな匿名ダイアリーとそのユーザーの俗称)が、生成AIで作った投稿が爆発的に増えたことによる“AI汚染”とも言える状況に陥ってしまったんですよ。生成AIを使った「分断を煽るためのテキスト」が、毎日大量に流れてくるんです。この記事も、生成AIで書かれたものかどうかは究極的にはわからないんですけど、そもそも「AIかどうかなんてどうでもいいわ」と思わせてくれた一本だった。
それでもあえて言うなら、私自身はこの記事の書き手はAIじゃないと思っています。その理由は文章のスキル的な問題ではなく、こういう内容をAIに書かせようと思えるかどうかにあるから。
2020年の推し記事で、私は「ガードレール」という一本を選んで「目的の不在」について話しました。この記事も同じで、「この内容を目的ありきで、つまり分断や対立構造を煽るために作ろうと思うか?」という。そこに「チラシの裏」と呼ばれたインターネット的な良いものが残っていると感じました。
ひらりさ:はてな匿名ダイアリーに目的なく投稿することこそが、AIとは異なる人間らしさとも言えるというか。本来の人間は、ある程度目的を持って生きていますし、いまや名前を持ち、その名前のインフルーエンスを高めるために書くのが普通ですよね。そう考えると、目的と名前がなくても書き続けられる増田のような人って、ある意味、異常生命体とも言える気がします。
杉本:そうですよね。AIの話題で言うと、今年は衝撃的なことがあったんですよ。私のXに「あのときの増田です」ってDMがあったんです。
(ざわめく会場)
杉本:その方は、私が2023年と2024年の推し記事イベントで選んだ匿名記事(2023年の推し記事、2024年の推し記事)は、実はどちらも自分が書いたものだと告白してくれたんですよ。増田って匿名性を大事にする美学がありますけど、2年連続で私が推し記事に選んじゃったもんだから、「どれだけ自分の文章が刺さっちゃったんだよ」ということになったらしく、お礼の連絡をくれたんです。AIとか関係なく、文体は個性だし、香るものは香るんだなって思いました。
ひらりさ:これからは書き手がAIか人かわからなくなるからこそ、読み手のスタンスが大事になりますね。

黒木:ひらりささんの3本目は、茅野さんが書いた「ROH『オネーギン』2025/02/15Soirée – レビュー」(世界観警察:架空の世界を護るために)ですね。
ひらりさ:実は私、2年前からバレエにハマり、ロシアの文豪プーシキンが書いた小説『エヴゲーニイ・オネーギン』を原作としたバレエ作品『オネーギン』の沼に落ちまして……。こちらの茅野さんは15日間でマドリード、ロンドン、ミラノ、高雄までバレエ「オネーギン」を鑑賞し、ニッチなオタク観点で貴重なレポートを残しています。中でも、2025年12月5日にロンドンオペラハウスで上演された「オネーギン」のキャストが自分と解釈一致してて素晴らしかった!と、事細かに解説されているエントリーが、今回選んだ記事になります。
茅野さんのブログタイトルは「世界観警察」です。持っている膨大な知識を、ただ世界観警察――「芸術作品やそれに関連するデータ、考察を発信し、作品の理解に困難を示すファンを助け、深い理解に貢献する」ために使い続けている人です。茅野さんは帝政ロシア時代に推しがいるそうで、その知識は抜群。「ウマ娘」内に出てくるオペラネタの考察などもされています。私がオネーギンに言及したエッセイ記事を書いたときには、「侯爵」と「公爵」の字の間違いを指摘してくれました(笑)。
とにかく、野生のインテリという感じで、どこでそんな知識を身につけたんだ!?というようなことを深く知っていらっしゃる。私のような初心者が知識10で楽めているとすると、知識100だとこのエンタメがこんなに面白く深くなるんだ!というのを教えてくれるんです。
かまど:情報量が図書館みたいですよね。たぶん無限に出せる方なんでしょうね。
ひらりさ:そうなんです。ソーセージ姉さんと彼女は同じ「好き」という気持ちで動いているけど、ベクトルが違っていて、彼女は世界を守るためにやっているんです。読めば読むほど「教養で殴られるとはこのことだな」と思います。
杉本:実は私、昔のインタビューで、「何を言っているのかわからないけど面白い」が最強の記事って発言したことがあるんです。これはそのひとつ。わからないのに書き手の熱量やその世界の魅力みたいなものは存分に伝わってきて、奇妙な感動があります。初めてこのサイトを知った方は、ぜひオネーギンを知らない権利を保持したまま、まずは目を通してほしいです。

黒木:いよいよラストですね。かまどさんの3本目は、かねこゆかりさんが書いた「近況報告とうなぎ」(かねこゆかりの自由なメモ帳)です。
(客席から笑い声が漏れる)
かまど:文字がデカくなるバグに見舞われたブログです。Xで流れてきて読んだとき、「すごいものが世に産み落とされているな」って愕然としました。
杉本: 1段落ごとに文字が150%ずつ大きくなっていく設定になってしまっていたみたいですね。
ひらりさ:文章の長さも絶妙。いまだにバグが直ってないんですね。

かまど:文字が大きくなるギミックを思いついたとして、面白く見せる最適解みたいな見せ方です。インターネットの神様が降りてきて、書かせたとしか思えない。でも、執筆者のかねこさん自身は、「なんかブログの文字がどんどんデカくなるバグ起きてて怖い。」(Xの投稿原文ママ)って困惑しているんですよ。
個人的に、こういうハプニングの面白さには敵わないと思っていて。「人生で一番笑った思い出は何ですか」、あるいは「文章で笑ったことはありますか」と尋ねても、「あるっけ?」ってなるし、返事がコンテンツで返ってくることはほぼありません。
でも、ハプニング的なエラーで面白いのって、テキストの強みなのかもしれなくて。動画や音声のハプニングといえば、音割れなんかがありますけど、おおむね生理的不快につながってしまう。でも、このブログでは可読性が下がるほどの事故が起こっているのに、面白さを阻害していない。そこにロマンと可能性を感じました。
お金と、テキストと、ネット記事の未来
黒木:今年の推し記事もすべて出そろいました。最後に、ウェブメディアの今後について話を聞いてみたいと思います。動画や音声、それから文学フリマが盛り上がる中、改めてみなさんはネット記事の面白さってどこにあると思いますか?
杉本:出版業界では、小説や文学がエンタメの第一線から外れて久しく、いよいよお金が集まらなくなってきたじゃないですか。そこへのカウンターとして、同人文化としての文学フリマの異様な盛り上がりがある。
動画に押されて下火と言われているネット記事だって、今でも数百万の人に読まれるポテンシャルを持っているんです。私野台詞さんとか、50音順のサイトを制作したげをさんとか、書きたいと思ってくれる若い人たちがいる。カルチャーには揺り戻しがあるから、テキストによる表現がもう一度脚光を浴びることだって十分あるんじゃないかと思っています。
ひらりさ:生成AIにこれを聞いたらこう言われたみたいなネタが盛り上がっていますけど、それもある意味文字を読んでいるわけですしね。

かまど:動画全盛期と言われるのも、結局はお金が入って来るからこそ。もしYouTubeの広告収入がなくなったら、8割の人は発信をやめると思います。そう考えると、ネット記事を守っていくためには、お金が稼げる世界を作らないといけない。広告がないところでマネタイズのルートが開けば、みんな戻ってきてくれるんじゃないかな。
杉本: noteなどのプラットフォームで、個人が簡単に収益化できるようになったのはいい流れですよね。
ひらりさ:でも、noteは無名から始めるのがものすごく大変ですよ。私もnoteから収入を得ていますけど、やはりお金を取るにはタレント性か情報商材性が必要になると思います。どちらもないと難しい。結局は、別のところでタレント性を持たないとお金に変えられない。そうなると、やはり富めるコンテンツは富むし、小さなコンテンツは昔よりも先細っていきますよね。
杉本:そう考えると、オモコロ杯とかデイリーポータルZのライター募集が果たしている役割は大きいですね。
かまど:こんな世界に引きずり込むわけだから、功罪ありますけどね。ネット記事はネガティブな話題が出がちだけど、テキストだからできる演出もあると思っています。
例えば、みくのしんの読書記事は、生理的なつっかえが多いから動画じゃダメで、あれはむしろ文字で整理したことで届けやすくなった。それに表現の手段としても、動画と比べてテキストの方が参加しやすいから、諦めるのはまだ早いのかなって。
ひらりさ:テキストの弱さは、出会いづらさですよね。記事一覧やタイムラインではタイトルとサムネしかないから、本当に自分にとって面白いかが感覚的にわかりにくいんです。
かまど:今後の話ですけど、個人的にはネット記事とスポーツが合うんじゃないかと思っているんです。というのも、読み物は一人称の記述に強いじゃないですか。スポーツって専門分野のライターがいるけど、オモコロとかデイリーポータルZとかエンタメの読みやすい部分にはまだ出ていない。書ける人がいたら、ごっそり持っていくと思います。
杉本:テキストは1秒を無限に引き延ばせるから、相性がいいでしょうね。
推し記事を決める気持ちで、ネット記事を読む
黒木:最後に、今日のイベントの感想を一言ずついただけますか?
杉本:たくさんの人と好きなネット記事について話せて、めちゃくちゃハッピーな時間でした。ネット記事の文化を守るとか、お金が落ちるようにしようとかいろいろな話をしましたけど、土台はすべて読者のリアクションで構成されています。よければネット記事を読んで、踏み込んで言うなら、作り手に「よかった」と伝えてもらえるとうれしいです。それだけで「やりますよ」って気持ちになるから。これからもよい記事があったら教えてください。
ひらりさ:私は初めてこのイベントに参加して、「推し記事」というコンセプトに触れました。「いままで食べたパンの数を覚えているのか」という言葉が浮かぶというか、ネット記事は自分の記事も含めて読み捨てていくものだと認識していたんですけど、来年からは推し記事を決める気持ちで、すべてのネット記事を読みそうです。皆さんの推し記事も、ハッシュタグをつけて投稿してください。追っていきますから。
かまど:同僚との飲み会で推し記事なんて語ろうものなら、「そんなことより食おうぜ」と言われる世界にいます。だから、今回こういう機会をいただけてうれしかったです。面白いもの、楽しいものの媒体はたくさんあるけど、そのひとつがこれからもネット記事であってほしい。 #推し記事 のハッシュタグで、いろんな記事を教えてください。そうすれば、Xの探索がより楽しくなります。ぜひよろしくお願いします。

これを読んでいる皆さんの #推し記事 も教えてください〜!
今回のトークイベント #推し記事2025 では、人間にしか持ち合わせないような、「好き」の熱量や実体験から生まれた記事を再発見することができました。明るい希望を抱きつつ、2026年もすばらしいネット記事に出合えますように。
<杉本吏さんの #推し記事2025>
▼塩こうじの食品表示(だいわlog)
▼実際のところ『指示厨』に従えばゲームってクリアできるんですか!?」(オモコロ)
▼杏の枝を打った話<ひらりささんの #推し記事2025>
▼【検証】お父さん監修で作った乙女ゲームは傑作になるのか?(オモコロ)
▼ドイツの肉屋で1年間働いてみた
▼ROH『オネーギン』2025/02/15Soirée – レビュー(世界観警察:架空の世界を護るために)<かまどさんの #推し記事2025>
▼小説『影の雨』、プロンプト全文公開(雑誌『広告』CASE#01)
▼50音ずつ一番面白い言葉を決める(あごわーるど)
▼近況報告とうなぎ(かねこゆかりの自由なメモ帳)文:ゆきどっぐ|編集:宮脇 淳(ノオト)
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